回復術師のソロプレイ・職業コンビニ店員ときおり妖怪討伐者-第5話【オリジナルライトノベル】

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ネコ耳少女と職業選択

そこは廊下だった。

 部屋の一室というよりも、六畳の離れの中にいたことになる。

 そこから、屋根のついた渡り廊下が母屋と思われる屋敷につながっている。

 よく見ると、いくつもの同じように離れがあり、その一つ一つが母屋の屋敷につながる渡り廊下を持っていた。

(そうか、同じようにして、別の入り口からここに入ってくる人がいるんだな。)

 ざっと見た所、10以上の離れがあることが分かった。

「行きましょう。あの屋敷が討伐者の拠点です」

 河原崎かわらざきが歩き出した後をついていく。

「屋敷にはすべてがそろっています。職業訓練施設から、飲食店、集会所、休憩室、換金所、討伐申請所などすべて必要なものはそろっています」

 直ぐ近くにあると思っていた母屋の屋敷は、実は巨大すぎてそう見えただけだった。

(あれ、思ったよりとおくない?)

「思ったより、巨大な建物なんですね」

「そうですね。私も初めて来たときは驚きました」

「みんな倭国人なんですか?」

「いえ倭国にいる外国人もいるようです。でも、この世界では魂の言語を無意識に話しているようですから、言葉が通じないということはないです。ただ白狐や狛犬系の人たちは、独特の話し方をするので、通じにくい事もありますけどね。」

(美少女の白狐とか早く会ってみたいなあ……もふもふの耳とかなのかなあ……)

「さあ、着きましたよ」

 屋敷の外廊下にたどり着き、その障子をあけた。

 二十畳ぐらいの畳部屋があった。

 そこには、六つほどの木机があり、それぞれに正座している者がいる。

 たけるは左端の机の前にいる白狐に目が釘づけになった。

 色白の肌に狐の耳としっぽが生えている美少女だった。

「ここが各職の受付です。討伐者は、五職の中の一つを習得することが必要となります。右から、前衛の防盾術師、槍剣術師、後衛の結界術師、陰陽術師、回復術師です。たける君はどの討伐職がいいですかね?興味のある職を解説しますが……」

 河原崎かわらざきの言葉を途中で遮ってたけるは白狐少女を指さした。

「あの子の所がいいです、えっと、あれは回復術師でしたっけ?」

「えっと、回復術師は男性にはあまりというか、全くおすすめはできないんですよ」

「えっ、なんでですか?あんなに可愛いのに……」

「えっと、回復術師は唯一、妖怪を攻撃するすべを持たない職種なんです。なので単独での討伐はできませんし、それと回復術に使う触媒の消費効率が女性の方がいいのです。つまり男性の回復術師は装備のコストが女性の回復術師の1.5倍かかると言われています。だから95%以上の回復術師は女性だそうです。私もこの3年間で男性回復術師には一度しか出会っていません」

「そーなんですか?でも少ないってことは逆に個性が出せてよさそうです。それに俺、グロイのは苦手なので、妖怪を切ったり、刺したりって…変な液体とか出てきたりとか、キモくてちょっとやだし。回復ってことはヒーラーですよね。MMOとかでも、殆どヒーラー職やってたんで、その方が向くと思うんですよね」

「うーん、でもさっきの繰り返しになりますけど、ソロ討伐は無理ですし、きっと後悔……」

 河原崎かわらざきが言い終わらないうちに、たけるは白狐少女の方へ駆け寄ってしまう。

多神たがみ君、まって!」

(やば、近くでみるともっとかわいいじゃん!耳とか最高、尻尾とか触ってみたいなあ。もふもふなのか?絶対もう、もふもふに決まってるよな!)

「なんじゃおぬし?」

その声は可愛らしいが、少し不機嫌そうな声である。

「その尻尾触らせてください!」

「無礼者!いきなりなんじゃ!人ごときが、宇迦御魂大神うかのみたまのおおかみの眷属たる、この命婦専女神みょうぶとうめのかみである我に、その神聖なる尾を触らせろとは!なんたる身の程知らすな言動か!そこになおれ、喰い殺してやる」

 慌てて河原崎かわらざきが駆け寄り、ひざまずき、立ち上がった白狐少女とたけるの間に割り込んだ。

「これは、回復術指導師たる命婦専女神みょうぶとうめのかみ様、ご無礼を致しまして大変申し訳ありません。この者はつい数分前にこの世界に降り立った、小童こわっぱにござりますゆえ、回復術指導師たる命婦専女神みょうぶとうめのかみ様のような徳の高い存在に初めてお目にかかるものでございます。そのお美しくも愛らし、その目もくらむようなまばゆきお姿に、つい我を忘れ、欲望のままにその言葉を発してしまっただけでございましょう」

 美少女白狐は少し頬を赤めた。河原崎かわらざきの言葉にでれた表情を一瞬浮かべたが、慌ててまた厳しい目つきに戻る。

 河原崎かわらざきたけるの腕をひっぱり、畳に座らせ、頭を押さえつけ、土下座させた。

「これも私くしめが、命婦専女神みょうぶとうめのかみ様のような高貴なお方に接する作法を先に教えることを怠ったせいでございます。その咎はすべて私にございます。何卒その罰は私くしめにお与え頂きまして、このものをどうかお許しいただけますようお願い奉ります」

 隣の机に座る、陰陽術師指導者の和装姿の女性がその様子を先ほどから見ていて必死に笑いをこらえている。

 他の指導者たちはあきれた様子で見ている者、無視して我関せずにいる者もいる。

「そっ、そうであるか。んっんん」

 白狐少女はのどを鳴らして、目を閉じた。

「まっ、まあよい。そのものに免じて今回だけは許してやろう。よく指導しておくが良い」

「ははあ、有りがたきかな。寛大なるお言葉に感謝いたします。さすがわ高貴なるお方でございす。」

(なんだチョロイのか……)

「でっ、お前は何故、我のところにきたのか?回復術師は女が適しておる。見た所、お主は男にみえるが、回復十術師に志願するつもりであるか?」

「いえ、彼は……」

 河原崎かわらざきが否定しようとしたが、たけるが遮った。

「はい!自分は、妖怪を倒すより、仲間を助けることの方が性に合ってるのです」

「ほう、よかろう、では我が、直接手取り足取り指導してやろうではないか――」

 たけるが思い浮かべていたのは、白狐美少女たちに囲まれて、手取り足取り指導されるハーレム修行であった。

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